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最高裁判所第二小法廷 昭和47年(オ)74号 判決 1972年9月22日

主文

理由

上告代理人阿部甚吉、同滝井繁男、同木ノ宮圭造、同阿部泰章、同仲田隆明の上告理由について。

上告人の第一審判決別紙第一目録記載の土地、建物(本件物件)についての賃借権は、その利用価値の取得を目的とするものである旨の原審の認定判断は、原判決の挙示する証拠関係に照らして首肯するに足り、その過程に所論の違法はなく、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、上告人の右賃借権の登記は、被上告人ら先代滝川昂の本件物件についての代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記におくれるところ、昂は、適法に右予約の完結をしたものであり、そして、被上告人らが右仮登記に基づく所有権移転の本登記手続を経由したのちは、上告人は右賃借権をもつて被上告人らに対抗することができないから、上告人は、被上告人らに対し、被上告人らが右本登記手続をするについて承諾を与え、右本登記手続が経由されることを条件として本件建物を明け渡し、第一審判決別紙第二目録記載の建物を収去してその敷地を明け渡すべき義務があり、上告人は、右義務の履行につき、被上告人らに対して清算金の引換給付を求めえないものというべきであつて、これと同一結論の原判決は正当として是認するに足りる。それゆえ、論旨は採用することができない。

(裁判長裁判官 岡原昌男 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一 裁判官 小川信雄)

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